おじいちゃんとおばあちゃんが
この白星神社の社家をしてるから
一年に一度 私はこの街に来る
たったの3日間
夏の姿しか見たことのないこの街...
理由は何故かわからないけれど
パパやママに聞くたびに少し寂しそうにするから
いつしか私はこの話を聞かなくなった。
「そろそろ出番だよ」と障子の奥から
お婆ちゃんの声が聞こえてくる。
『はぁーい』
返事を返せば
パタパタと足音が遠ざかっていく
壁にかけてある衣装を見つめ
またため息が出る
もう、私も中学2年生
来年は受験生になるから今回の七夕祭りが
お手伝いが出来る最後の年
そう考えると色々と悲しくなる。
夏にしか来なかったにしろ
思い出がないわけじゃない
いろんな思い出の詰まった衣装へ私は手を伸ばした
