『 フフッ... 』
「 何笑ってんだ 」
『 ん〜?秘密! 』
記憶に浸っていればいつの間にか
慣れ親しんだ景色は無くなっていて
車がゆっくりと止まった
「 お疲れ様です。着きました 」
運転手さんの声と共に界人が車から降りる
窓の外から見る景色は
魔王の城と言えるほど大きな建物が聳え立つ
『 あ、ありがとうございました! 』
「 いえ全然
また帰る際も送らせていただきます 」
『 ありがとうございます 』
降りようとドアに手をかけようとすれば
「 おっせぇ。 」と痺れを切らした界人が
ドアを開けて上半身だけ車の中に入れる
『 ちょ、降りるから! 』
少し不機嫌そうな彼を宥めながら
押しのいて車からおりる
さすがの運転手さんも苦笑い
ペコリと会釈をすれば潮の香りが鼻を掠める