星と月のセレナーデ






寝起きの重い体を引きずって
薄暗い部屋で何かに捕まろうと手探りになる
ガサッと本棚ではないものを蹴り飛ばした



『 え…… 』



何故か届いてある私の鞄



『 何故? 』



手に持っていたスマホの画面が通知で明るくなる


玄から不在着信5件
葵から不在着信5件
友香から不在着信10件


おーっと、なかなかに心配されているではないか。


連絡を返すためにラインを開く
1番上には案の定友香から連絡が来ていて
“ごゆっくり♡”と一言だけ添えられていた。


ごゆっくり?


意味もわからないまま
拾い上げた鞄を肩にかけて扉の方へと向かう