カラダの関係は、お試し期間後に。

「だ、ダメよっ……あなたには、ガールフレンドがたくさんいるでしょう?」

少し後退りしながら必死にごまかすが、バーテンくんの勢いは止まらない。

「そんなものは関係ないさ、俺にはキミしか見えていない」
「本気なんだ、綾乃ちゃん…」

一瞬、その甘い言葉に気持ちが揺れ動く。
でも、胸はなぜか高鳴らないまま。
あの備品室で、葵とまっすぐに見つめ合った瞬間のような胸の高鳴りと全身の火照りなど、カラダがとっくに忘れてしまったかのように無反応だった。

「カクテルってね、作る人によっては大きく味が変わるんだよ」
「シェイカーの振り方1つで、中の氷の割れ方も、混ざり合い方も…ね」
「おいしくて、体を熱くさせるカクテルを作るテクニックには自信があるんだけど……試してみないかい?」

バーテンくんの、超ワイルドな顔が1ミリずつ綾乃に迫ってくる。