──薄暗くて狭い備品室の中。

壁際に立たされたまま身動きもできず、ただただ至近距離で見つめ合う葵のその驚いたような眼差しから逃れられない綾乃。

「あ…っ!」

やっとの思いで目を逸らすことができて、止まっていた呼吸がやっとできたような気がした。

「ば、バカッ…なにマジで迫っちゃってんのよっ!」

「なっ…!せ、迫るって…誰がだよっ!」
「お前みたいな色気もクソもない女なんかに、興奮なんてするわけねぇだろ!」

その一言で、綾乃の額に青筋が浮かび上がった…。

「…色気がなくって悪かったわねぇぇ…っ」
「私はあんたとは違って、健全な人生を歩んでますからぁ!」

いつもの調子で腕を組む綾乃を、葵はキョトンとして見下ろした。

「…なんだよ、その“あんたとは違って”…って」