…なんて、皮肉を込めてズカズカと廊下を突き進んでいると、背後から足音が迫ってくるのに気がついて振り返った。

「き、桐矢?どしたの、あんた…」

軽く息を切らしながら追いかけてきた葵の姿を見るや否や、キョトンとする綾乃。
そんな綾乃に、葵はちょっと嬉しそうに顔を覗き込む。

「いや、お前が俺の撮影見に来るなんて、どういう風の吹き回しなのかなぁと思って!」

「ち、違うわよっ!売店に行く途中で人だかりを見つけたから…ちょっと覗いてみただけなんだから!」

ぶっきらぼうにそう答えると、葵はつまらなさそうに頭の後ろで両手を組み、宙を見上げた。

「なーんだ、見に来たわけじゃなかったんだ」

「なんでちょっと残念そうなのよっ?(笑)」

しばしの沈黙の後、葵がさりげなく問いかけた。

「お前、例のネイチャーくんとはどうなの?」
「…デートだったんだろ?」

「…えっ?あぁ…そ、そりゃあもう、大自然の中で壮大な愛を捧げられちゃって大変だったのよねぇ!(捧げたのは私の壮大なゲップとオナラだけど)」

壁にもたれかかり、腕を組んだ葵からは更なる追求が続く。

「……で?付き合ったとか?」