全部、私の思い込みだった。
じゃあこれからも、一緒に居られるってこと?
別れないでいいってこと?
信じられなくて、ずっと曇り顔だった私に「じゃあ何?」と暁人は再度口を開く。
「じゃあなに、あれだけキスだってそれ以上だってしたのに卒業したらハイ終わりってその程度だったの?」
「違う、私だって離れるの嫌で泣いてばかりで・・・その、」
被せるように否定する。でも、その後の言葉が上手く出てこない。ぶわりと身体の内側から何かが溢れてくる。この気持ちを声に出したいのに、どう表現したらいいか分からなかった。
「・・・いや、俺もちゃんと話せば良かった。てっきり知ってるのかと思ってた」
ちゃんと将来の話もしておけばよかったね、と彼は笑う。そうしたら今こんなにもお互いに悩まずに済んだのかもしれないのに、と。私も「そうだね」と笑う。
だんだんと“こんな毎日が続けばいいのに”と思うようになり、わざと将来の話を避けていたのだ。ちゃんと話そうとしなかった私も悪い。
「じゃあずっと一緒にいられるの?」
「うん」
「別れないでいいの?」
最後の方は涙声だった。あぁ、ダメだ。涙がせきを切ったように流れ出す。
明日も、明後日も、その先も隣にいていいの。震える声でそう尋ねると「そうだよ」と、涙でぼやける視界の先で暁人が笑っている。



