「そんなに知りたいなら俺と来い。二度は言わねぇよ」

マスカラの乗った睫毛が揺れる。思ってもなかったみてぇな面だった。

どっちでも良かった。一緒に堕ちるなら、とことん堕としてやる。奈落の底で俺と沈め。

「行きます」

確かに聞こえた。躰と声を強張らせながら、譲らねぇ眼をしてやがった。

「・・・馬鹿が」

どっちに向かって吐いたのか。

力任せにミヅキを引き寄せた。胸元からこっちを仰いだ隙に、後ろ頭を捕まえ口を盗む。舌で唇を割り、歯列をなぞり、味わい尽くす。

俺の女だ。

烙印を押す。

消させねぇから覚悟しとけ。

櫻秀会(おうしゅうかい)一ツ橋組傘下木崎組、組長代理。甲斐辰巳の名を。