「あぁ、月が綺麗だ」



明日になったら希代さんにも月を見たかを聞いてみよう。きっとあの無防備な笑みを浮かべて楽しそうに話してくれるに違いない。


そして明後日もその先も、こうして彼女との生活を当たり前のものとして送っていく。そのための布石はもう打ってあるし、万が一にも逃げられるようなことにならないようにも手を打ってある。まぁ彼女の気質的にはそんなことはないだろうけど念のためにね。


数年後のことを考えると先ほどまでの不快な気分は消え去って、幸福な気持ちだけが胸を満たす。


求めるのは、願うのは、欲しいのはただ彼女だけ。そしてそれはもうこの手の中に。



それこそが僕の普通であり、永遠に続く彼女との日常だ。



fin