紙に書かれていた不愉快極まりない言葉の羅列には欲のままに希代さんに乱暴しようとした計画や彼が盗んだ彼女の私物がどういう使われ方をしたのかも書いてある。
こんなのを見せられては僕だけじゃなくて彼女を崇拝している過激派が見れば塵ひとつ残されないまま消滅させられるんじゃないだろうか。まぁ彼にはそれでも慈悲のあるほうだと思うけど。
「はぁい、ご機嫌いかがぁ?」
「控えめに言っても最悪ですね」
「あっは、そんな感じするわぁ」
カツカツとヒールの音を立ててこちらに向かってくるのはその過激派の中でもかなり攻撃的な方だ。月明かりに照らされた姿は誰もが振り返るような妖艶な美女だがその本質はかなり極端で好き嫌いがはっきりしており、気に入らない人間に対してははどこまでも残虐。
過去にも似たようなことがあったときには自らの持つ権力や容姿やらを武器にして容赦なく相手を破滅させましたしね。あれはかなりの手腕だなと感心した覚えがある。
その後ろに続く人たちもかなり癖のある人たちでその誰もが希代さんを熱烈に慕っている過激派連中だ。まぁだいたいこういう場では彼らしか集まらないけどね。ほとんどは事後報告として周知されるだけだ。


