「あぁ、本当に……」



ふふ、と自然に笑みが溢れてしまう。


彼女は自身のことを普通だ凡人だと言うけれど、これだけ多くの人間を虜にしてしまう人が平凡な人間のはずがないだろうと思う。それも一癖も二癖もある人間ばかりが彼女に尽くしたいと思っているのだからその魅力は留まる所を知らない。


確かに外見はありきたりな色彩と容貌であり、10人中半数以上が普通だと答えることだろう。しかしそれでは説明できない心惹かれるものがあるのは確かで、そうでなければこれだけの人数が集うわけもない。


勿論、僕もその一人だ。あぁでも、



「困ったね」



彼女に魅入られる気持ちは分かるし、尽くしたいと思ってそうすることに関しては許容しているが、それはあくまでも彼女の慈悲があってのことで、それを理解せずに自らの欲望を優先するのは頂けない。



「君のような害虫が希代さんの近くにいるというのは僕達にとって不愉快極まりないことなんだよ」



希代さんは気にも留めていなかったようだけどね。そしてそれは希代さんの魅力のひとつであり、僕達が目を離せなくなる欠点とも言えるものでもある。いや、やっぱりそれも夢中になってしまう要因なのだから魅力になるのかな。