私の中の選択肢に、この子の命をあきらめるという選択肢はない。

もしも蓮人が、この命をあきらめる選択をしたら・・・。

あれこれ考えると余計につわりが悪化してしまい、私は考えることをあきらめて眠りについた。

物音に目を覚ますとあたりは暗くなっていて、部屋の小さな明かりをつけながら蓮人が何やら作業をしていた。

「・・・おかえり」
私が目を覚ましていることに気づかないまま、何やら台に登り作業をしている蓮人。
「ただいま。起きたか。」
スーツのジャケットを脱いで、ワイシャツの袖をまくり、ネクタイを外している蓮人が私の方を見て微笑む。
「ちょうどできた。」