「優莉さんの体では妊娠の継続は困難です。」
処置を受けた私の体。
ベッドの上に横になり、点滴をされる私の隣では蓮人が私以上に医師の話を真剣に聞いている。

「肝機能の状態が悪い。妊娠が分かった時も言いましたよね?妊娠の継続は難しいこと。もしかしたら、母体がもたず、命を落とすこともあること。」
幼いころから私を診てくれている医師の厳しい言葉。
蓮人は初めて聞く事実に、明らかに動揺している。

医師は昔から私と同じように知っている蓮人に、なんのためらいもなく話をする。

きっとお腹の子の父親が蓮人だとは知らないだろう。
「命を落としかけても、何とか順応してきた薬を使用できない状態だ。もしも出産できたとしても、あの時のような困難に再び立ち向かわなくてはならない。今回は乗り越えられるかどうかはわかりませんよ。出産はそれだけリスクを伴い、体への負担も大きい。」