私は大学卒業がかかった大切な時期をほとんどの時間病院で過ごすことになった。

蓮人は自分の大学での講義や提出物がある時以外は私の病室で一緒に過ごしながら試験に向けての勉強に励んでいた。

「おはよ」
短く挨拶をしながら病室に入ってくる蓮人。
毎日手には母の作ってくれたお弁当を持っている。

「食べられそう?」
蓮人の言葉にベッドから体を起こす気力もない私は、横になったまま首を横に振る。
「こっちは?」
そう言って私に見せてくれたのは、私の大好きなプリンだった。

「あとで食べたい。」
「凍らしとく?」
「うん」
私は体調が悪すぎるときは凍らせたプリンを口に入れてしばらく味わうのが好きだった。