こんな間近に寄った事ねぇし

野々瀬から甘い香りがして

心臓が…高鳴る。




ヤバイ…


ドキドキしてんのバレちまう。




『ねっ?

綺麗でしょ?』



そう横から問いかけてくる野々瀬の

小さい口唇が目に入る。




「おっ…おう」



咄嗟に理性にブレーキをかけ

ストラップに視線を戻すけど

何も考えられないぐらいドキドキする。



あぁ……俺って情けない。





その時、説明文が目に入った。





レインボークリスタルの宝石言葉
【愛・感謝・希望】

レインボークリスタルは
水晶の一種で、内部に光をあてると
レインボー(虹色)が見れるのが特徴の宝石です。

レインボークリスタルが放つ虹色の光は
愛や感謝、希望を意味しているといわれています。

そのため憎しみや挫折感というような
マイナス感情を癒すのに最適といえます。




俺……野々瀬にとって

このレインボークリスタルみたいになりたい。




「何色がいい?」



『えっ?』



「何色が好き?」



『オレンジかな』



不思議そうに言う野々瀬をそのままに

オレンジと自分の好きな水色の

2色のストラップを手にレジに向かった。




『えっ?!

ちょっ…椎野くん??』



慌てて追いかけてくるのがわかる。




でも、レジで既に支払って

そのまま、袋にも入れて貰わず

ストラップを手に

野々瀬と店の外に出た。



「俺も気に入ったし

野々瀬も気に入ったみたいだから…」



俺が差し出すと

野々瀬は戸惑った。



『…いいの?』



「おう」



『ありがと』



そう言って受け取る野々瀬を見て

俺は早速携帯に付けた。




なのに、野々瀬は握り締めたまま

ストラップを見つめてる。




「気に入らなかったか?」



あんなに嬉しそうに見つめてたのに…。


不安になる。