別れた原因は

正村が付き合いを隠したがった上に


修学旅行で

クラスの女に何かを買ってやった事で

野々瀬の不満が爆発したと…。




「今でも好きなのか?」



「それは……わかんない」



言葉を濁す恩田に

肯定された気がした。




「椎野はののが…」



「あぁ…特別に想ってる」




俺は隠したりしねぇよ。



恩田は微笑んだ後

「ののを追いかけるね」

そう言い

教室から出て行った。




「恩田にも言ってなかったんだな」



「ん?

望が言って欲しいって言うまで

俺が言う事じゃねぇだろ?」



いつも温和だけど

こうやって口が固かったり

頑としたとこがあるんだよな。



「ありがとうな」



「んじゃ

凛と2人で応援してやるよ」



「ははは、サンキュ」



その時、俺の視界に

見たくないのに正村が映った。



正村は蒔田と話をしながら

誰かを探してる―――気がした。



野々瀬を探してんのか?



例えそうでも……


野々瀬を泣かす奴になんか…


誰にも渡さない。



俺だけを見て欲しい。



そう強く願う…。