クスクス笑ってる野々瀬は

やっぱ可愛くて…。



『今みたいに仲良くなる前

放課後に肩ぶつけて

同じように痛がってたね』




「覚えてたのかよ?」




『…うん


あれからずっと

椎野くんの事、気になってた』





「俺と同じ…」




『えっ?』




「俺も同じ


あの日からずっと…



けど、俺とだと…


…見上げたり出来ねぇぞ?

背、低いし…」




『何で?

ちゃんと見上げられるよ?』




俺を見上げる野々瀬は

確かに俺と身長差はそんなにないけど…



すっげぇ可愛い。




俺、ヤバイ…。





だから……。



「ねっ?


身長なんて関係ないよ。


こうやって少し見上げられる方が

私は好き」




コンプレックスが……薄れていく気がした。



気にしてんのに

誰にも言えなかった…けど…。




野々瀬の言葉で…瞳で…


大した事ないって思える。





「俺と付き合ってくれ」





『はい

…私を彼女にしてください』




俺はそのまま野々瀬を抱きしめた。



もう遠慮しなくていい。



友達じゃなく

恋人になったんだ…。




ずっと野々瀬とは友達と恋人


その狭間にある遠い距離があるって感じてた。




だけど、それは…


俺が作り出してたんだ。



友達って枠に嵌めて…。




近くて遠い…。



だけど、今はこんなに近い。



手だっていつでも繋げる。



抱きしめる事だって…。