野々瀬に従って

ついて来たのは屋上。




もちろん誰もいない。




「なぁ、野々」



『ねぇ椎野くん』




俺の言葉は真剣な顔の

野々瀬に遮られた。




「はい」



あまりに真剣だから

思わず出た返事。




なのに―――…。




さっきまで強気だった野々瀬が

俯いて


上履に視線を落としてるんだ。





「どうした?」



俺が顔を覗きこむと


悲しそうな顔をしてるんだ。




正村と何かあったのか?





そりゃ…野々瀬には

やっぱ笑ってて欲しいけど

正村の相談とかは

……俺、聞けそうにねぇぞ?




それでも…



「何かあったのか?」




首を左右に振る野々瀬。




訳…わかんねぇ。




数秒の沈黙。



空気が重い。




俺、いつも野々瀬と


どんな会話してたっけ?




焦れば焦る程わからず

沈黙が続く。




―――…

――…

―…





はぁ~


仕方ねぇ…。




「……話って何だ?」




俺から切り出した。




正村と付き合うようになったとか


そんな報告なら要らねぇ。



聞きたくねぇ。




『………』




何で何も言わねぇんだよ…?