「もし差出人が書かれていない手紙が送られてきたら、葛葉くんだったらどうする?」


これくらいの質問だったら、葛葉くんに手紙の内容を知られることはないよね。


「差出人が書かれていない手紙? そ、そうだな……とりあえず、相手がまた手紙をくれるまで待ってるかな。なにか用があるなら、相手からまた手紙が来ると思うし」

「なるほど、そういう手もあるね。教えてくれてありがとう」

「ど、どういたしまして」


ひとりでどうすればいいのかわからなかったことを、葛葉くんに相談できてよかった。



「じゃあ、俺、もう行くよ。またね、菊月さん」

「うん。葛葉くん、またね」


お互いに手を振ってバイバイすると、葛葉くんは校舎に入っていった。


あわよくば、葛葉くんといっしょに帰れたらって思ってたけど。

残念ながら、それは叶わなかった。


でも、葛葉くんと少しでも話すことができたから、それだけで満足だ。


とりあえず、手紙のことは相手からまた来ないかぎりは返事をしないで待っておこう。