「ねぇ、葛葉くん……」

「なに?」

「私ね、大学生になったら塾の講師に挑戦してみようかと思うんだけど……どうかな?」


葛葉くんから『人になにかを教える職業が向いてる』って言われたあの日。

私も教育に関心を持つようになって、塾の講師をしてみたいと思ったんだ。

だから、どの学年の子が担当になってもいいように、(ひそ)かに全教科の勉強をしていた。


「うん、絶対に春花ちゃんなら向いてると思うよ。そうだ! バイト先、まだ見つかってないなら、俺の働く予定の塾に来ない? 前に、塾長に春花ちゃんのことを話したら『紹介して』って言われてたんだよね」


まさか、葛葉くんがバイト先の塾長さんに私の話をしてくれてたなんて。


「ホントに? いいの?」

「もちろん! それに、春花ちゃんといっしょにいれる時間が増えるしね」

「うれしい!」


どんどん葛葉くんとの予定が増えていく。


まだ予定を決めてる段階なのに、もうすでに幸せだ。