「俺も1年のときから……いや、俺はこの学校の入試の日からずっと、春花ちゃんのことが好きだったんだ」
「嘘……そんな前から？」
私が葛葉くんを好きになる前に、葛葉くんが私のことを好きでいてくれてたなんて。
「あの日、不運にも消しゴムを忘れてしまって、ホントに困り果ててたとき、助けてくれたのが春花ちゃんだったんだ。俺の隣の席が春花ちゃんじゃなかったら、今ごろ俺はこの学校に通えてなかったかもしれない。春花ちゃん、あのときはホントにありがとう」
あれからもう3年も経ってるのに……。
葛葉くん、あのときのことをずっと覚えててくれてたんだ。
「って、もう3年も前のことだから、春花ちゃんは覚えてないかもしれないけど……――」
「――覚えてるよ、ちゃんと」
私も、あの日のことは一度も忘れたことなんてない。
「そっか。春花ちゃん、ずっと覚えててくれてたんだ。スゴくうれしいよ」
「それは、私もだよ」
私たちはほほ笑み合ったあと、3年間お世話になった高校に「ありがとうございました！」とお礼を言って、この場をあとにした。
