「最初は菊月さんに会えたら、それだけでよかったはずなのに。菊月さんと話したら、もっと菊月さんのこと知りたくなって。だけど、手紙で菊月さんに好きな人がいるって知って、正直焦った。嘘でもいいから、菊月さんの好きな人が俺だったらいいのにって」



ニッコリと笑っているのに、どこかシュンとした表情で話をつづける葛葉くん。




「だから、菊月さんの好きな人が俺だって知ったときは、すごくうれしかった。でも同時に、罪悪感でいっぱいだったんだ。だって、菊月さんはシンを俺だって知らなかったわけだから」





あぁ……ダメだ。



葛葉くんにずっと伝えたかった想いが、どんどんあふれてくる。