この手紙、どうすればいいんだろう。

目的が終わった私は、手紙のことを考えながら昇降口で上履きからローファーに履きかえる。



「あっ、菊月さんだ」



私に話しかけてくれたのは、葛葉くんだった。

嘘……葛葉くんが私に声をかけてくれるなんて。



「葛葉くん、どうしたの?」

「特に用があるってわけじゃないんだけど、中庭からいつも教室に菊月さんの姿が見えるから、なにしてんのかなと思って」



昨日、葛葉くんが手を振ってくれたのは、私の勘違いじゃなかったんだ。

でも、本人を目の前にして、私が登校しているホントの理由を言えるわけがない。