「じゃあ、行ってきます!」
「行ってらっしゃい! お母さんたちもあとで行くからね」
「はーいっ!」
いつも通りの時間に家を出て、通いなれた道を歩いて駅へ向かう。
制服を着て、電車で登校するのも今日で最後なのに。
明日も今日と変わらない日々が来るんじゃないかと思ってしまう。
だけど、学校に着くと、正門の前には『卒業式』と書かれた看板が目に飛びこんできた途端に、現実が押し寄せてきた。
ホントに、今日で高校生活が終わってしまうんだ。
卒業という2文字をひしひしと感じながら、昇降口へと向かう。
そして、ローファーから上ぐつに履きかえて教室に向かおうとした――そのとき。