「葛葉くんっ!」 私の声に気づいてこちらを振り向いた葛葉くんに、自分の気持ちが口からポロッと出そうになる。 でも――まだ言わない。 「また明日っ!」 「うん、また明日っ!」 さようならの代わりに発した言葉に、葛葉くんは笑顔で手を振りながら返してくれた。 明日、卒業式が終わったら、葛葉くんに私の気持ちを伝えよう。 私は葛葉くんの背中に向けて小さくつぶやいた。 「葛葉くん……好きだよ」 たとえ私の気持ちが届かなくても。