「寂しい?」
私の顔をのぞきこむように尋ねる葛葉くん。
「ちなみに俺は寂しいけどね。菊月さんとこうしてふたりきりで話せなくなっちゃうから」
――ドキッ……。
さっきとは打って変わって、胸が高鳴った。
嘘っ……。
まさか、葛葉くんも私と同じように思ってくれてるの?
「私も……もう葛葉くんと会えなくなるなんて考えられないよ」
でも、私のワガママで葛葉くんを縛《しば》りつけるわけにはいかない。
「明日は卒業式でいつもより下校時間が早いから、早く模擬授業をしよう」
私と関わってくれたお礼に、せめて葛葉くんの役に立ちたい。
私が葛葉くんにしてあげられることはそれだけだから。
そう思っていたけど――。