「菊月さんと過ごしてたら、なんだかんだであっという間だったなぁ……」

「確かに。葛葉くんといるだけで、時間があっという間に過ぎていった気がするよ」


葛葉くんに会えるっていうだけで、学校に行くのがいつも楽しみだった。


「でも……今日で、菊月さんとこうして話すのも最後になるんだね」



――ドクッ……。


葛葉くんの言葉に、胸がしめつけられるほど苦しくなった。


「そうだね……」


そっか……。

明日、卒業するってことは……もう葛葉くんとはこうして会えなくなっちゃうんだ。


たった1ヶ月足らずの間だけだったけど、高校を入学してからずっと好きだった人と、こうしてふたりきりで過ごせたことは、私にとってはホントに奇跡だった。


でも、今日でそれが終わってしまうなんて……。


なんだか心がポッカリと空いたような、切ない気持ちになる。