「俺だって、最初から教師になりたかったわけじゃないよ。ってか、俺が教師を目指そうと思ったのは、菊月さんがきっかけなんだけどね」

「えっ? わ、私!?」

「そうだよ」


私、なにか葛葉くんにしたっけ?

むしろ、私が葛葉くんにしてもらってばかりな気がするんだけど。


「俺、ホントはプロのバスケットボール選手になろうとしてたんだ。でも、中学生のときに大きなケガをして、その夢が途絶えてしまってさ。高校生になって、大した夢もないのに勉強して、なにやってるんだろうって思ってたこともあったよ」


そうだったんだ……。


葛葉くんはきっとバスケが好きなんだろうなとは思ってたけど。

ケガのせいとはいえ、大好きだったバスケが思いっきりできなくなるのは、つらいよね。