❀
「じゃあ、今日は解散ーっ!」
「また明日も集まろうなー!」
「おうっ!」
どうやら今日は、お開きのようだ。
私も帰ろう。
カバンを持って、教室を出る準備をしようとした――そのとき。
葛葉くんが笑顔でこちらに手を振っているのが見えた。
これって、私にだよね?
半信半疑で、葛葉くんに手を振ってみる。
すると、葛葉くんはさらに笑顔を振りまいて、大きく手を振ってくれた。
心臓がドキッと音を立てる。
葛葉くん、私に気づいてくれたんだ。
すごくうれしい。
やっぱり、私は葛葉くんが好き。
でも、葛葉くんに自分の気持ちを伝えるつもりはない。
だって、フラれるのが目に見えているから。
それに、私が告白をすることで、葛葉くんを困らせなくない。
だから、高校を卒業したら、葛葉くんの片想いに終止符を打つ。
それまでは、葛葉くんを目に焼きつけておきたいんだ。



