「菊月さん、今日も模擬授業に付き合ってくれてありがとう」

「どういたしまして。葛葉くんのお役に立てたならうれしいよ」


自分の夢のためにがんばる葛葉くんをこんなにも近くで見られるなんて。

こんな贅沢なことはない。


「菊月さん、前にどんなバイトしようか悩んでるっていってたけど、もう決まった?」

「ううん、まだなにも決まってないの」


一応、いろんな求人募集を見てはいるんだけど、どんなところが自分に向いているのかわからなくて、履歴書とにらめっこをしている日々だ。


「葛葉くんはスゴいよね。もう夢が見つかって、それに向かってがんばってるんだから。私にはそんなのがないから、葛葉くんがうらやましいよ」


私も葛葉くんやシンくんみたいに、早く自分がやりたいことを見つけたいよ。


そしたら、こんなにも悩まずに済むのに。