「じゃあ、今日の授業はここまでね」

「はい、ありがとうございました」


葛葉くんの授業はあっという間に終わった。


「菊月さん、どうだった? わかりにくいところはなかった?」

「ううん、全然そんなことなかったよ。それに、わからない問題をわかるまで丁寧に教えてくれたから、途中から問題を解くのが楽しくなってきちゃった」

「ホント? それならよかった」


葛葉くんは安堵の表情を浮かべた。


「葛葉くんって、もしかしたら学校の先生も向いてるんじゃない?」


葛葉くんみたいな先生が教えてくれたら、きっと苦手な数学も少しは好きになれるんじゃないかな。