「ありがとう。そうだ! もし菊月さんさえよければ、俺の生徒役になってくれない?」


葛葉くんが顔の前で両手を合わせる。


「えっ!? 私が葛葉くんの生徒役!?」

「うん。ダメ……かな?」

「だ、ダメなんかじゃない!」


むしろ、生徒役に私を選んでくれてうれしい。


「でも、私でいいのかな?」

「俺は、菊月さんじゃなきゃイヤなんだけど」



――ドキッ……。


葛葉くんにそんなことを言ってもらえるなんて。

まるで夢でも見てるみたいだ。


「じゃあ、私でよければ」

「ホント? ありがとう!」


葛葉くんは喜色満面の笑みを浮かべた。

その笑顔に、また心臓がドキッと音を立てる。


「じゃあ、明日からよろしくね」

「うん!」


まさか、葛葉くんに大役を任されるなんて思ってもみなかったけど、葛葉くんの力に少しでもなれたらいいな。