「おはようお母さん」
「おはよう。ご飯できてるから食べてね」
今日も、雨が降っていた。
今夜は、つむにご飯をあげるために起きてしまって、あまり眠れなかった。
「いってきます」
無意識にため息が出てしまう。
寝れなかったし、昨日いろいろあった透真と学校で会うのは、気まずい。
すると、大粒の雨が霧雨に変わった。
しかも、ただの霧雨ではなかった。
――薄い桜色の雨だった。
濃い色ではないけど、確かに綺麗な桜色だった。
私は立ち止まって、ずっと雨を見ていた。
「どういう、こと?これ、現実、なの?」
その時、透真の目の色と同じ色だというのが頭に浮かんだ。
「――これ、、、普通の雨じゃ、ないよ。」
なんとか、ギリギリで学校に着くと、いつもは透真だけなのに20人以上の人がいた。
もっと早く出るべきだった。と後悔した。
「あ、美優!おはよう」
「おは、よう」
「今日、遅かったね。なんかあった?」
「いや、あの、ちょっといい?」
「ん?」
私は透真を廊下に呼び出した。
「どうしたの?」
「えっと、聞きたいことがあって、、、」
私が話そうとすると、そのタイミングで予鈴が鳴ってしまった。
「「あ、、、」」
最悪のタイミングだ。
「予鈴、鳴っちゃったね」
「帰りに話すね。ホントにごめん」
「分かった。また聞かせて」
「うん」
関係ないかもしれないのに、どうしても気になったから、聞くことにした。
*
「やっと終わったー」
「で、話したいことって何?」
「えっと、その話なんだけど。私の勘違いだったら、ごめんね」
透真はゆっくりと頷き,真剣に私の目を見ている。
「今日の朝さ、私には、薄い桜色の霧雨が降ってるように見えたの」
「えっ」
透真は目を見開いていた。
「でね、その色が、透真の目の色と同じように見えて、なんか、透真知ってるかなって、思って」
「僕の目の色に見えたの?」
「う、ん」
私がそういうと、透真が泣きそうな顔をした。
「透真?え、ごめ」
「違う」
透真が私の言葉を遮る。
「謝らないで。」
「やっぱり朝の雨って」
「そう。僕が雨を降らせた。ここで話すのはあんまりよくないから、違うところで話したい。」
「じゃあ、前の公園は?」
透真は「公園は危ないじゃん」と首を振った。
私が場所を考えていると、透真は何か思いついたように顔を上げた。
「僕の家来て」
「えええ!そ、そんな申し訳ないです!」
「もう家くらいしかないから。メールで住所教えるね」
「わ、分かった」