あれからどのくらい時間がたっただろうか。

透真と電話してから強い雨が続いた。


私たちはもう、学年が上がろうとしている頃だった。


「今日も雨かよ!まじうぜぇ」

「それなー!」


男子たちがそう言っていた。


透真は私のために頑張っているけど、桜の雨が降ると、何が起こるかは知らなかった。


聞きたいけど、しばらく話してないから話しづらい状況だった。










3月。


もうすぐ進級。

なぜか今日は雨が降らなかった。



そして、めずらしく学校に透真が来なかった。



この日は1日が長く感じた。



透真がいなくて、授業に集中できなかった。




早く帰りたいと思った。














「ただいま」


やっと家に帰れたと思うと、透真からメールが来ていた。



『虹の丘公園の丘に来て』

それを見た私は手も洗わず、虹の丘公園の方へ走った。










「はぁ、はぁ」

20分ほど走り続けて、丘の下に着いた。



丘を登ってしばらく歩くと、透真がいた。




「美優」

「、、、」


「来て」


「あ、うん」


ゆっくりと透真の方へ向かうと、強い風が吹いた。

「わっ」


透真が目を瞑って、手を空に向ける。


すると、私たちの真上に金色に光る雲が現れた。




私はぽっかりと口を開けたまま雲を見ていた。


「ねぇ、美優。手、繋いでもいい?」

「うん、いいよ」


「ありがと」



透真が息を吸うと、雲が光り、何かが手に落ちてくる。






雨。











――桜色の雨だった。








霧のように細かくて、毛布で包まれているみたいで、すごく温かかった。



「と、透真、、、。これって、、、」



「やっと降らせられた。」

気づかないうちに私の目から涙がこぼれていた。


「透真」





「美優」









「「愛してる」」
























「あなたは夫と幸せな家庭を作り、愛し合うことを誓いますか?」



「――誓います」



「それでは、誓いのキスを」







「透真。私、今幸せだよ」



「僕もだよ」





私たちはそう言ってそっとキスをした。









「「愛してる」」