「そ、そんな事ない…」
「じゃあ、これ何だよ?」
「へ?あ…これは、その…」
私は無意識に春野の制服のシャツを掴んでいて、急いで離した。
春野は私の反応を面白がっていた。
春野が私の事好きで…っていう状況なのに私が春野の事好きみたいじゃん。
「琴音、俺の事名前で呼んでみ?」
「嫌っ!」
「なんで?」
「だってずっと春野の事春野って呼んでたのに今から名前で呼ぶなんて…恥ずかしいもん」
そう言うとまた春野の顔が近付く。
「名前で呼ばないとまたキスするぞ?」
「わー!脅しだー!」
「手段だよ」
「そんな…んッ」
案の定またキスされる。
そして今度はキスをしながら私の手の上に春野の手が重なり、指が絡み合う。
もう…何も考えられなくなっちゃう……
唇が離れると春野はすぐにまたキスを出来そうな距離で囁いてくる。
「呼ばないならもう1回キスするけど?」
「待って…呼ぶからッ…あ…あ…あら………」
「早くしろよ?たった三文字だろ?」
「そんな事言っても…うぅ…………嵐っ」
やっと言えた!と、思うとまた唇を塞がれた。
なんでー!?
「んーッ…春野ぉ…名前で呼んだのにまたキスしたぁ…」
「よ、呼んだからってキスしないなんて言ってねーし!」
「どっちでもするなんてズルいよ!」
「ズルいって言うけどなぁ…琴音だってキスすんの嫌じゃないんだろ?」
「……言わないっ」
実は大して怒ってないけど…ここはすごく怒ってるふりをした。



