「山田君…ごめんね…今日は春野と帰るね。あのね、今は仮だけど春野と付き合ってるからなるべく春野と過ごしたい」
「わかった。俺は同じクラスだし他の所で頑張るよ」
私と春野は教室を出た。
教室を出ると春野はしゃがみこんで頭を掻いた。
「どうしたの!?」
「あー…まじでよかった!俺、絶対に断られると思った」
「そんな…だってわざわざメッセージして誘ってくれたのに…あっ…春野、そのまま動かないで」
「え?そのままって?」
前方からこっちに向かってお兄ちゃんが歩いて来る。
しかも、両サイドには女の子がぴったりくっついてるし……
「琴音、さっきから電話してるのに何で無視するんだ?」
「うん…学校にいる間電源切ってるから気付かなかった」
さっき春野からのメッセージと一緒にお兄ちゃんからのメッセージの通知があるのも見えたけど既読すら付けなかった。
春野はお兄ちゃんにすぐに気付いて頭を伏せたまま息を忍ばせていた。
「帰りはお兄ちゃんと一緒に帰ろう」
「え…絶対嫌なんだけど」
「エェ!?琴音さんっ!みんなで一緒に帰りましょうよー」
両サイドの人達も一緒に帰るんだ…
「あ、あの!私、このお腹痛くてうずくまってる人保健室に連れて行ったりしなくちゃいけないから!」
「…は……いたたっ…」
「ん?また春野君か?何で向かい側の校舎のクラス彼がここにいるんだ?」
春野のクラスの教室をもう把握してる…春野の事もう調べ始めてるよ。
多分、わざわざ教室に来たのも春野がいないか確認しに来たんだ。



