そして、その日の帰り。
ホームルームが終わると春野が教室に飛び込んで来た。
「琴音、今日一緒に帰るよな!?」
「えっ…春野のクラスホームルーム終わるの早いね」
「三神さん、違うよ。向こうのクラスホームルームまだ終わってないみたいだよ?」
山田君が笑いながらうちの教室の窓から見える向かい側の校舎の教室を指差した。
「哲哉!うるせーよ!口出してくるなよ」
「え?ホームルーム抜け出してきたの?」
「仕方ないだろ!琴音にメッセージ送っても既読付かないし……放っておいたら哲哉と帰りそうだし…」
春野は目線を逸らして自信無さそうにそう言った。
「あ、ごめんね!学校にいる間お兄ちゃんから呼び出しの電話来たら面倒だからスマホの電源消してたんだった」
スマホの電源を入れて確認すると春野からメッセージと様子を伺っている様なスタンプが送られて来ていた。
「ちなみに俺も今日の帰り三神さんを誘おうと思ってたんだけど、今メッセージ見たって事はまだ約束前だよね?俺と帰らない?」
「え?」
「哲!勝手な事言ってんじゃねえよ!今琴音と付き合ってるの俺だぞ」
「仮でしょ?遠慮しないって言ったじゃん」
うぅ……二人は親友なのに雰囲気悪くなっちゃってる。
仲良くして欲しいのに。
「あの…みんなで帰るのは…駄目かな?」
「「駄目!」」
二人は声を揃えてそう言った。
「三神さん、最後は俺と嵐二人と付き合うなんて出来ないから今からちゃんとどっちかを選べるようにしなくちゃ」
「そうだよね…ごめんね」
やっぱり今日一緒に帰るのは…



