あの日どうして春野とあんな事になってしまったのか、私が酔ってしまった時の事を女子のグループメッセージで聞いてみたけど、私と春野が酔って眠ってしまったあと家主が寝てしまったという事で解散をしたらしく私と春野の事も家の事も山田君が引き受けてくれてあの後の事は誰も知らないようだった。



だから、一番状況を知ってるのは山田君だと思うんだけど……



みんな私が山田君の事を好きだって知ってたから仲良くなるキッカケになったんじゃないかとか、そんな話になってその話は終わってしまった。



山田君と仲良くなるどころか、春野と付き合う事になってしまったなんて……



仲良かった子達はクラス分かれちゃったけど、報告した方が良いのかな?
付き合ってるとはいえ仮だしなぁ。



「三神さん、体育館に移動だよ。行こう?」

「あ…うん」



自分の席でボーッとしてる私に山田君が話し掛けてくれて始業式の為体育館に一緒に移動した。


「三神さん、混乱させるような状況にしてごめんね」

「うん…あの、山田君が私の事……好きって本当?」

「そうだよ、一年の時から」

「でもっ……一年の時あんまり話したりしてなかったのに」


いつも春野に邪魔されて……って、今思うと邪魔されるし、よく絡んで来てたから結局一年の時一番関わってた男子って春野だったな。


「じゃあさ、あんまり話した事なかったのに三神さんはどうして俺の事好きになってくれたの?」

「えっ!?えっと……山田君は覚えてるかわからないけど、入学式の時春野にぶつかられて転んだ時優しく立たせてくれて、山田君の笑顔も王子様みたいで!クラスで見る度格好良くて……って!私、本人の前で何言ってるんだろ」

「ふふっ ありがとう。俺も同じ様なもんだよ、何でも一生懸命で明るくて可愛いなって」

「かわっ!?」


急にそんな事を言われると恥ずかしくなって顔が熱くなってしまって、手でパタパタと顔を扇いだ。


「……あのさ、一年の時の嵐の印象と今の嵐の印象って変わった?」

「春野の印象?変ったよ!一年生の時は春野の事すごく嫌な奴で嫌いだったけど…春野の気持ち知ってから思い返すと、からかわれる事も多かったけどさり気なく気遣ってくれてた事もあって…春野の事わかってきたら嫌いなんて思ってた時の事忘れちゃったんだぁ」


私が春野の事を話していると山田君は何故か優しく笑った。


あ…そういえば私、山田君のこの笑顔から好きになったんだよね。


「良かった。嵐の奴不器用だからちょっと心配だったんだ。三神さんの事好きなくせに嫌われるような事ばっかりしてるからさ……でも、油断し過ぎたかも」

「え?」

「嵐はマイナススタートだと思ってたけど、三神さん思ってた以上にちゃんと嵐の事見てくれてるし。嵐が素直になるまで待ってたけど譲るつもりはないから俺との事も考えておいてね」

「う……うん……」

「三神ー!山田と浮気かー?」


体育館の近くに行くとあの集まりに参加した元クラスメートが声をかけてきた。



「へ!?」



春野と付き合い始めた事広まってるの!?



「ほら、お前等二人揃ってお菓子で酔っ払うって!カップルみたいなの撮れたんだよ!この写メ送ってやろうか?」



そう言って笑いながらスマホの画面を見せつけて来る。



画像はソファで二人で寝ていて、春野は私の肩を抱き寄せて寝てるし、私は春野に抱き着いて寝てるしカップルみたいだと言われても仕方ない体勢だ。



「三神覚えてないかもしれないけど夫婦揃って山田に感謝しろよ?あのあと片付けたのも二人を介抱したのも山田なんだからな」



私はバッと山田君を見るとまたニコニコ笑っていた。



そうだ!女子のグループメッセージでも言ってた!



「山田君!あの時みんなが帰ったあと私達何があったの!?」

「うーん?嵐が熱いとか言って上半身裸になるし、三神さんに抱き付いて離れなくてさ」

「ちょっと待って…それで私は?」

「三神さんも起きたんだけど、ボーっとしてて嵐にされるがままだったかな?」

「それで?」


あの日の事を一番知ってるのは山田君だ。