「なぁ?」

「ん?」

「一応仮と言っても付き合ってるし…付き合ってるらしく手でも繋いでおかないか?い、嫌だったらいいけど」


春野は何故か私のいない方を向いてそう言う。


「なんでそっち向いて言うの?私こっちなんですけど?」

「見れるかよ!クソ恥ずかしいだろうが!」

「春野恥ずかしいの?ふふっ…この前は勝手に手繋いでたくせに?」


いつも優勢の立場の春野が、私に対して恥ずかしいなんて…ちょっと可愛い。


「この前と今とは状況が違うだろ…この前は俺も1人で突っ走ってたし…それより、どうなんだよ?」

「あ…うん…いいよ」



春野が真剣な時はちゃんと向き合わないと。


私が答えると春野はすぐに自分の手と私の手を絡めた。


あ、恋人繋ぎってやつだ…やっぱり春野って馴れてるのかな?


結構モテてるし…1年の時は付き合ってる人とかいなかったみたいだけど、中学の時とかきっと彼女いたよね。


「春野って今まで何人くらいの女の子と付き合ってたの?」

「ハ?」

「えっと…手繋ぐのとか自然だったから」

「…付き合った事ない」

「へ?ウソ」

「だからめちゃくちゃ焦ってるよ…どうすれば女子が…琴音が喜ぶのか、どうすれば俺の事好きになってもらえるのかわからないし」

「…そっか…えっと…私ね、春野って私の事嫌いなのかなって思ってたから…勝手に恋愛対象から外れてたの。でも、これからは、 ちゃんと春野の事恋愛対象として春野の事好きになれるか見るから!素のままの春野でいて?」




春野を見てそう言うと春野は目線を逸らして、顔を赤くして黙って頷いた。



そんな春野を見ると胸がキュッとなる。