「琴音!帰るぞ」
また勝手に名前で呼んでくる……
「あ…うん、山田君、またね」
山田君はにこにこしながら手を振って見送ってくれた。
そして帰り道。
かなり気まずい。
春野も何も話さないし…
春野が私の事嫌っていてくれたら簡単に話切り出せたけど、さっき否定してなかったし……
とりあえず、違う話題から切り出そう。
「は、春野…」
「あ!?」
「あのっ…ももこちゃん…私も抱っこしたいな」
「………絶対に大事に抱けよ?」
「うんっ」
春野はももこちゃんを抱っこさせてくれた。
「わぁ…可愛いっ」
「クーン」
ももこちゃんは私の頬を舐めてくれる。
毛並みが良くて綺麗に刈ってあって、両耳のところにレースの付いたピンクの可愛いリボンの飾りが付いている。
春野のお家で大事に育ててられてるんだなぁ……。
「……そこの公園で少し休憩するか」
「うんっ」
私達は公園に入り、ベンチに座った。
ももこちゃんは私の膝に静かにちょこんと座る。
おりこうさんだなぁ…
すると、春野が突然私の肩を抱いた。



