春色の恋−カナコ−[完]

なんだか落ち着かなくて、ソファに座っていてもそわそわ。

立ちあがって冷蔵庫をのぞいてみるけど、特にこれと言って入っているわけでもなく。

テレビをつけてみるけど、なんだかどれもうまく頭に入ってこない。

「はぁー」

なんとなく出てしまったため息だったけど。

「なに、そんなに退屈だった?」

首からタオルを下げ、部屋着に着替えてきた河合さんに飛び上るほどびっくりしてしまった。

「いや、え、そういうわけでは」

しどろもどろになってしまう。

あわててあたふたしてしまう私の横に座った河合さんは、笑いながら私を見てくしゃくしゃっと私の頭をなでてくれる。

「今日は泊まっていけるの?」

気がつけばすっぽりと河合さんの両腕に抱かれていて。

また、耳元でささやかれてしまう。

「ひゃぁ」

思わず、変な声を上げてしまって、顔が熱い。

「お風呂入ったし、あとは、寝るだけ?」