春色の恋−カナコ−[完]

「お風呂は、また今度にしよう」

河合さんの言葉に顔をあげると、やさしいキスが降り注いできた。

「先に入っていいよ。リビングにいるから」

くしゃくしゃっと私の頭をなでてから、行ってしまった河合さんに唖然としながら。

ここで一人ぼーっと立っているわけにもいかず、お言葉に甘えて一人でゆっくり湯船につかった。

すっきりとしてお風呂から上がると、ソファに座って何やらパソコンをいじっていた河合さん。

「お、いい湯だった?」

「はい、ありがとうございます」

河合さんに借りた服は、さすがに大きくて。

ハーフパンツは膝の下まで来ているし、Tシャツも袖を何度か折り曲げて。

「じゃあ、俺も入ってくるから。冷蔵庫の中から好きなもの飲んでいいよ」

そういうとパソコンを閉じ、お風呂場へ行ってしまった。

風呂上りにお水が欲しくて、冷蔵庫からペットボトルを拝借する。

グラスに水を注ぎ、ソファに座ってから一気に飲み干した。