春色の恋−カナコ−[完]

「ごはん、食べていくだろ?」

「悪いね」

河合さんも一緒に家の中に入ると、すでに夕飯が出来上がっていて。

3人で食べる夕飯は、とてもおいしくて。

あっという間に時間は過ぎて行った。

その日は安心感からか、ぐっすり眠ることができて。

翌日も朝迎えに来るという河合さんに無理をさせたくないからと断って。

いつも通り、バスと電車に揺られて出社することができた。

佐藤さんが直接謝罪をしたいと言っているとおにいちゃんから連絡があったけど。

私の中ではもう終わったことだったし、正直佐藤さんにはもう会いたくないというのもあり、丁寧に断ってもらった。

会社では岡本部長にも説明をして。

「解決してよかったな」

最後まであれこれ質問をせずに私の話を聞いてくれた岡本部長に感謝して、気持もすっきりして仕事に打ち込むことができた。

残業もあまりなく、毎日ほぼ定時で帰宅できた私は、夕飯を作っておにいちゃんの帰宅を待つ日々が戻ってきて。

おにいちゃんも河合さんも、すごく遅くなるということはなくて時々河合さんが帰りに家まで来てくれたりもした。

週末にはアメリカからの荷物が届いたりして河合さんとゆっくりデートすることはできなかったけど。

翌週も仕事はさほど忙しくなく、河合さんも残業のない日は二人でデートしたりして一緒に過ごすことができた。