春色の恋−カナコ−[完]

男と女には、いろんなことが合って。

ただ、好きなだけじゃだめな時もあるって。

友情か、愛情か、自分でもわからなくなることだってあるんだ。

この先私はもう佐藤さんと会うことはないだろうけど、迎えに来てくれた彼と幸せになってほしい。

私は、今目の前にある河合さんの手を離すことはできそうにないから。

「コウスケさん。私、コウスケさんが好きです」

「うん、わかってるよ」

そっと河合さんが離れたと思うと、ちゅっとおでこにキスをされて。

「カナコちゃんを愛してる」

私の目を見て、はっきりとそう言ってくれた後、唇に触れるだけのキスをしてくれた。

「今回のことは、俺がすべて悪いと思っている。本当にごめんね」

「コウスケさん…」


まだ明るかった外は、すっかり夜の色に変ってしまい、車は私の家の前に到着した。

家の前で、普段着に着替えたおにいちゃんが待っていて。

「お帰り」

「ただいま、おにいちゃん」

にっこり笑ったおにいちゃんが、迎えてくれた。