春色の恋−カナコ−[完]

早ければ来週末には荷物の一部が届くことになりそうだから、部屋の掃除をよろしくね、なんて言われて。

「週末は大掃除しなきゃ!」

河合さんとのデートも楽しみだけど、家を掃除して、今おにいちゃんの部屋になっている1階の寝室を、お母さん達が使えるように直さないとだめだし。

「デート、できるのかなぁ…」

うれしいけど、河合さんと会えないかもという不安が大きくて。

忘れないうちに、帰国までにやることをメモに書きだした。

そうこうしているうちに時間は深夜12時をもうすぐ回るところ。

おにいちゃんから連絡はないけど、今日中に帰れないのだろうか。

河合さんからも連絡はなく、寝る準備も済ませたころ、家の前に車が止まる音がした。

こんな時間に車が止まるなんて、珍しい。

そっとカーテンの隙間から外を覗くと、真っ赤な車からおにいちゃんが下りたところだった。

誰かに送ってもらったんだ…。

いつも終電近くになると、駅まで迎えに来てほしいと連絡があるのに、今日はなかった。

誰かに送ってもらうなんて、本当に数えるくらいしかなかったんじゃないかな?