春色の恋−カナコ−[完]

お腹いっぱいになったけど、しっかりデザートまで食べてからお店を出て二人で並んで家まで歩いた。

駅から歩くとそれなりの距離があるけど、おしゃべりしながらの夜道もなかなか楽しくて。

大通り沿いの明るい道をまっすぐ歩いたので、怖さもなく。

あっという間に家に着いてしまった。

「じゃあ、またね!今度河合さん紹介してよね!」

「うん、ありがとうね。お休み!」

家の前で別れてから、ハナちゃんは明かりのともる家へ。

私は、誰も居ない家の鍵を開けた。

「ただいまー」

一つずつ、電気をつけながら家の中を進んでいき、ふぅとため息をつきながらソファに座った。

「楽しかったー」

久々、二人での食事は、お互い沈黙になることもなくて。

女の子ってとにかくよくしゃべる!

話しは尽きることがなかったけど、今日の話の9割は河合さんのことだった。

部屋着に着替えて、お風呂の準備をしつつ河合さんに帰宅したことをメールする。

きっと、まだ仕事中で忙しいから返事はないだろうなと思っていたら、すぐに返信されてきて。

楽しめてよかったね、お休みとだけ書いてあったメールだけど、忙しい中すぐに返信してくれたことがとにかくうれしかった。