春色の恋−カナコ−[完]

すっかりご機嫌に電話を切ると、目の前に腕を組んでにやにや笑っているハナちゃんが立っていた。


「もう、カナコちゃん、電話でにやけすぎ!」

注文した料理が目の前に並んでいて、その向こうでハナちゃんが大きな声で笑っている。

私は料理を食べながら、いつまでも笑っているハナちゃんに頬を膨らませていた。

そんなに笑わなくてもいいじゃん…。

「面白かったよー。電話でころころ表情変えてるし!かわいいー!」

「もー。でもねぇ、うれしいんだ。平日会えなくても、週末の約束ができて」

料理を口に運ぶ手を休ませ、目の前で笑顔で料理を口に運ぶハナちゃんを見ていた。

私の幼馴染でいつも一緒にいた、ハナちゃん。

「でも、よかった」

急に真顔になって私の顔をじっと見つめてくるハナちゃんに、ドキドキしながらお水を飲んだ。

「カナコちゃん、幸せなんだね」

ニッコリ笑ってうれしそうに笑うハナちゃん。

ハナちゃんが親友でよかったと思うよ。

「ありがとう」