春色の恋−カナコ−[完]

ネクタイをはずして布団を掛けると、すーすーと気持ちの良い寝息が聞こえてきて。

かなり疲れていたんだろうな。

そっと寝室の扉を閉めて、自分の朝食を作り軽く汗を流すべく近所を一周してから会社へと向かった。


いつものように日々の業務をこなし、ばたばたとしていたらあっという間にお昼休み。

今日は外出している人が多くて、事務所の中には誰も居ない。

最近忙しいのか、そういう日が多くて、ひとりでソファに座ってお弁当を食べるのにも慣れてしまった。

食後のコーヒーを飲みながら、持ってきた本を読んでいるとメールの着信を知らせる音楽が鳴って。

「コウスケさん…」

届いたメールには、今から出勤することと、今日も帰りが遅くなりそうだと書いてあった。

今日も遅いんだ…。

無理しないでくださいね、と返信してから本当は電話したいんだけど、忙しいよね…。

そんなことを悩みつつ、携帯の画面を眺めていたら、今度はおにいちゃんからメールで。

河合さん同様、遅くなることが書かれていた。

今夜も一人だな…。

なんだかすごくさみしくて。

久しぶりに友達とご飯に行こうと思い立ち、ハナちゃんにメールをした。

しばらくするとすぐに返事が来て、19時に駅前で待ち合わせすることに。

最近ゆっくりおしゃべりもしていなかったから、なんだかすごく楽しみ!