「だからあれは、俺が最初に泣かせたくて」
「うん!それ理由にならないからね!!おかしいからね!?」
「なにがおかしいの」って、朔はそう言った。
真面目な顔でそう言うから、言葉に詰まる。
固まってしまった私の髪に触れながら、朔は続けた。
「澪の初めては全部俺がいい。泣いた顔も怒った顔も怯えた顔も、今まで誰にも見せたことない表情、全部俺が最初に見たい」
「な……」
「そう思うことの、なにがおかしいの」
な、なんでそんなことを恥ずかしげもなく言えるの、こいつは……っ。
あまりにもストレートにものを言いすぎる。
「ねぇ、答えて?」
「ぅ、い、いちいち近いんだってば、」
顔を覗き込む朔から目を逸らして、逸らした先には光輝がいて。

