すごく恥ずかしくて、余裕たっぷりの朔が悔しくて。
キッと睨みつけると、朔は「分かってないなぁ」とため息を吐く。


「それ、意味ないから。反抗的な態度取られると、どうにかしてでも服従させたくなる」


……私は、たまに見せる朔のこの目が苦手だ。
冷たくて、暴力的で、暗い目。今にも噛み付かれるんじゃないかって、心配になる。
なのにどうしてだろう。その奥には、熱がこもっているような、何か強い気持ちがあるように感じた。



「……でも、さっきの澪の言葉が嬉しかったから、今はこれで許してあげる」

「ちょっ!?」



そう言って、朔は私の髪にキスをした。


……さっきの言葉がどのことを指しているのか分からないし、っていうかキスされるなんて予想外だし、朔のファンもなんとかしないといけないのに……



頭の中はぐちゃぐちゃで、文句を言ってやりたいのになにも出てこない。


顔を赤くしながら混乱している私を見て、朔はいつものように優雅に笑った。



「俺以外の男にこんなこと許しちゃダメだからね」